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非メジャーアイドルナビ

一般的に「非メジャー」に分類されるであろうアイドルを追跡するブログです

女子アイドルのサブカル化はなぜ起きる?福田花音卒業と「スマイレージ」の終焉

スマイレージがアンジュルムになった日

スマイレージ(現アンジュルム):ハロー!プロジェクト所属の女性アイドルグループ。ハロプロエッグから選抜されたメンバーで、2009年に結成され、2010年にメジャーデビュー。その後メンバーの卒業・新加入を経て、現在はグループ名を「アンジュルム」に変更している。

アンジュルム|ハロー!プロジェクト オフィシャルサイト

 

スマイレージがインディーズデビューした時の衝撃を、今でもはっきり覚えています。

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ひたすら「カワイイ」としか言いようのないキュートな楽曲とダンス、メンバーのルックスや4人のバランスも絶妙で、メジャーデビュー前にしてすでにアイドルとしてひとつの「完成形」を見せてくれているような気がします。
ぁまのじゃく」というタイトルも非常にキャッチーです。PVのつくりはチープですが、インディーズということを考えると、決して悪い出来ではありません。むしろ、奇をてらわずに作ってあるところが好印象です。

 

私がスマイレージに熱狂したのは、何と言ってもオリジナルメンバー4人の、各々のアイドル性の高さでした。

4人ともルックスとスタイルが抜群で、歌やダンスのレベルも全体的に高く、弱点・欠点が見当たりませんでした。さきちぃ、ゆうかりん、かにょん、あやちょという、非の打ちどころのない高スペックなアイドルが4人集まってグループになったことが、奇跡としか言いようがないと思えました。

 

しかし、満を持して2010年に「夢見る15歳」でメジャーデビューを果たした4人ですが、期待されていたほどのヒットには至らなかったようです。

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楽曲もダンスも特段悪くないと思いますが、「日本1スカートの短いアイドル」という、あまり心躍らないコンセプトや、「シンデレラの生まれ変わり」「ダジャレ担当」といった無理やりなキャラづけが、足を引っ張ったような気もします。

その後も立て続けにシングルをリリースしていきますが、「アイドル戦国時代」とも呼ばれる女性アイドルグループが乱立して凌ぎを削った時勢の中で、残念ながら、スマイレージは期待されていたほどのブレイクを果たすことができませんでした。

 

そして2011年のオリジナルメンバーの卒業・2期メンバー加入というテコ入れを経て、2014年10月、3期メンバーの加入と同時にグループ名の変更が発表され、私を熱狂させた「スマイレージ」は名実ともに消滅し、新たに「アンジュルム」という全く新しいグループが誕生したのでした。

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結局、オリジナルメンバーでアンジュルムに残留したのは、和田彩花福田花音の2名だけでした。そしてその花音も、2015年11月での卒業を先日発表しました。デビューから5年、まさに山あり谷ありの道を歩んできた「スマイレージ」の終焉と同時に、福田花音は「アンジュルム」、そしてハロプロからの卒業を選んだのでした。

 

いったいなぜ、あんなにハイスペックで、しかも事務所からの期待も非常に大きかったと思われるアイドルグループ「スマイレージ」は、まったく新しいグループである「アンジュルム」へ生まれ変わったのでしょうか?

そして、「アンジュルム」のメンバーとして新しいスタートを切ったはずの福田花音は、なぜ今回このタイミングで、卒業を決意したのでしょうか?

 

小川紗季、そして前田憂佳の喪失

2011年8月、スマイレージから小川紗季が卒業したことは、さきちぃファンだった私にとって大きな衝撃でした。しかし、恐らくスマイレージにとって最大の打撃となったのは、それからわずか4カ月後の、前田憂佳の卒業でしょう。

 

ゆうかりんのアイドル性の高さは、ハロプロファンならば誰もが認めるところではないかと思います。スマイレージの象徴的メンバーは、歌のうまいさきちぃでも、際立つスタイルだったあやちょでも、クレバーでMCのうまいかにょんでもなく、間違いなくゆうかりんでした。

「エース」とも「センター」とも少し違う、アイドルとして稀有な求心力があったと思います。「生まれながらにして人に愛されるアイドル性」としか、私のつたない語彙力では表現できません。ゆうかりんの存在は、スマイレージのアイディンティティそのものだったような気がします。

 

もちろん、さきちぃの卒業も「スマイレージ」が崩壊するきっかけの1つになったと思います。最年少ながら、スマイレージの「ワルガキッ」ぽさを最も体現していたのは、小川紗希だったと思います。彼女の根っからの明るさは、アイドルグループにとって非常に重要な武器だったのではないかと思います。また、彼女は歌唱力でも抜きんでており、実はスマイレージのキーパーソンだったと言えるかもしれません。

 

そして何より重要なことは、スマイレージが「4人」という、決して多くない人数で構成されたグループだったことです。

50人いるメンバーから2人抜けるのと、4人のメンバーから2人抜けるのでは、おそらくその意味は大きく変わってくると思います。4人ぞれぞれが大きな責任と役割を負っていたスマイレージにおいては、1人欠けただけで大きくバランスを崩してしまったでしょうし、まして2人欠けるとなると、もはやグループの同一性を保ち続けることは難しかったのではないかと思います。

さきちぃが抜け、ゆうかりんが抜けることで、スマイレージは最大の「アイディンティティの危機」に晒されることになります。

 

そして2人の卒業と同時期に、田村芽実勝田里奈竹内朱莉中西香菜という2期メンバーが入ってきました。*1

結果的にオリジナルメンバーよりも多い人数の新メンバーが入ったことで、「スマイレージ」は急激にグループとしてのムードやカラーが変わり、「スマイレージではないもの」へと変質していきます。

 

和田彩花福田花音が守り続けていた「スマイレージ」の残像

しかし、その「変質」をあやちょと花音がおとなしく受け入れたかと言えば、当然それは違ったと思います。

前田憂佳が卒業して初めてのシングルとなったチョトマテクダサイ!は、まだ「スマイレージ」時代のカラーが色濃く残り、「○○がんばらなくてもええねんで!!」の流れを感じる内容になっており、また初期メンバー2人の強烈な自意識を感じます。

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ほとんど素人と変わらない、あか抜けない2期メンバーを大きく突き放すように、あやちょも花音も、恐ろしいまでのアイドルオーラを放っています。私にはまるで、2人が「スマイレージ」の残像を守り抜こうと、自分たちのアイディンティティを死守しようとしているように見えました。 

もちろん、実際2人が何を考えていたのかは知る由もありませんが、私にはあやちょと花音が「スマイレージ」としてのアイディンティティを2人で守り、新メンバーが入っても変わらずに2人が中心的存在であり続けることで、初期「スマイレージ」の雰囲気を守り抜こうとしているかのように感じられたのです。

 

2期メンバーの台頭と、3期メンバーがもたらした「アンジュルム」改名

しかし徐々に、2期メンバーは研鑽を積み、頭角を現し始めました。

2期メンバーは、あらゆる意味で非常に個性的で、「スマイレージ」の残像をかき消すほどのパワーを持っていたと思います。めいめいとタケちゃんのパフォーマンス力、かななんとりなぷーのキャラクターは、「スマイレージ」にはなかった泥臭さや、親近感を感じさせるものでした。

恐らく、2期メンバーは最初大変な苦労をしたのではないかと思います。素人同然だっためいめいとかななんはもちろん、エッグ出身のタケちゃんとりなぷーも、初期「スマイレージ」の凄味を知っているからこそ、オリジナルメンバー2人への遠慮もあっただろうし、ファンから厳しい反応が出た時期もあったでしょうし、「スマイレージ」の残像に苦しめられてきたと思います。

しかし、先に「スマイレージ」を乗り越えたのは、おそらく彼女たち2期メンバーだったのではないでしょうか。

そして、2期メンバーが存在感を増してくると同時に、初期「スマイレージ」時代には歌わなかったようなタイプの楽曲も、新しいスマイレージとして、堂々と提示してくるようになったのです。

 

15枚目のシングル「ええか!?」では、2期メンバーが激しく自己主張し、楽曲のムードを作り上げています。

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この曲で、スマイレージは当時過去最高となるオリコン3位を記録。名実ともに、「スマイレージ」を2期メンバーが乗り越えた瞬間でした。

 

さらに次の16枚目のシングルでは、オリコン2位という記録を達成します。

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スマイレージ」時代にはあり得なかった、シリアスさや色気を押し出した曲です。これは苦い経験や年齢を重ねた新しいスマイレージでなければ、辿り着けなかった境地です。そして、あやちょと花音も、2期メンバーに背中を押されるような形で、今までになかった表情を見せてくれています。新しいスマイレージの、新たな「完成形」が見えた気がしました。

すでに過去のものとなっていた「スマイレージ」の残像は、もはや跡形もなく消えようとしていました。

 

この時点ですでに十分揺さぶられていた「スマイレージ」のアイディンティティは、この後3期メンバーである室田瑞希・相川茉穂・佐々木莉佳子の加入、そして「アンジュルム」という新しい名前を与えられることによって、完膚なきまでに破壊されることになります。*2

 

2期メンバーが成長し、順調に第二章のスマイレージとして活動を続けていた彼女らに、突然訪れた「エース級の3期加入」*3と「アンジュルム」改名というカタストロフィ。

私はこれを、オリジナルメンバーと2期メンバーで作り上げた新しいスマイレージに課せられた、最後の宿題だと感じました。事務所が期待をかけてきた「スマイレージ」を完全に過去のものとして、現在のスマイレージとの文脈を断絶し、「アンジュルム」という新たなグループとして違う歴史を作り始めることを受け入れろ、という一見非情とも思える通告です。

メンバーは「スマイレージ」を乗り越えて、3期メンバーを中核に据えた「アンジュルム」として1から出直すことを求められました。

 

そしてそれは同時に、「スマイレージ」オリジナルメンバーである和田彩花福田花音のアイディンティティ崩壊の危機も意味していました。


スマイレージ」を乗り越えた和田彩花は、孤高のアイドルへ脱皮

「アンジュルム」の誕生によって、「スマイレージ」を乗り越え、その過去に折り合いをつけたであろう和田彩花は、次第に「孤高の存在」へと解脱しつつあるように思います。

 

2期メンバー加入後のある時期から、あやちょの雰囲気がガラリと変わったと感じました。メイクや髪型が非常にシンプルになり、彼女の素材の良さ、スタイルやルックスの良さが強調され、その佇まいが非常に自然で、どことなくクールな印象に変わったのです。コドモっぽさが魅力でもある2期メンバーにまざると、一層あやちょの達観したような雰囲気が際立ちました。

大人になったということなのかもしれませんが、彼女のその驚くようなナチュラルさは、新しいアイドル「和田彩花」像を強く感じさせるものでした。

 

そして、どこまで戦略的だったのかはわかりませんが、あやちょは、彼女が本来的に持っていたセンシティブな感性を前面に出すことで、「仏像」「アート」という、アイドルとしての新たな個人的アイディンティティを獲得することに成功しました。
それが彼女の、「スマイレージを諦めて、それでもアイドルを続ける」ための、ある意味での自己防衛手段というか、対抗手段だったのではないかと思います。

 あやちょの書いた絵画の解説本は、どうやらそれなりに話題になったようです。そして、新聞で定期的に取り上げられたり、少しずつではありますが「アート好きアイドル」として、新たなポジションを築きつつあります。

 

あやちょの素晴らしいところは、非常に素直な感覚で、仏像や美術に向かい合っているところではないでしょうか。正直言って、仏像も美術も専門的な知識が必要な難しいハイカルチャーの世界であり、付け焼刃の知識でどうにかなるものではありません。そこを、あやちょは素直に、「この仏像がスキ」「この絵がカワイイ」という、等身大の彼女らしい感性で捉えて表現しており、それなりに勉強はしているようですが、決して評論家を気取ったり、奇をてらったようなことは言いません。

あやちょは「仏像」「アート」という全く新しい世界をうまくアイドルとしての価値に取り入れて、「スマイレージ」からも「アンジュルム」からも少し距離を置いたところで、「アート系アイドル」という自分のオリジナルな価値を創造する手段を見出したのではないでしょうか。


もちろんそれは、あやちょが「スマイレージ」の過去を捨てたわけでも、「アンジュルム」としてのモチベーションを失ったわけでもありません。

ただ、「アンジュルムの和田彩花」として「スマイレージ和田彩花」が思い描いていた以上の景色を目指しながらも、その視点をさらに乗り越えて、あやちょは孤高のアイドルとしてこの世界を生き抜く手段を見つけたということだと思います。

非常にバランス感覚を必要とするところですが、私の考えていた以上にあやちょの精神性は揺るぎないようです。私はこの件で、心からあやちょを「すごい」と思いましたし、アイドルとして非常におもしろくなるんじゃないか、今後さらにおもしろいものを見せてくれるのではないかと期待しています。

 

では、同じく「スマイレージ」を乗り越えて「アンジュルム」を消化する必要のあった福田花音は、一体どうしたのでしょうか?

 

スマイレージ」も「アンジュルム」も消化できない福田花音は、サブカルの世界へ

元々この「女子アイドルのサブカル化」という現象は、決して花音だけに見られた特異な現象ではなくて、「アイドル」の言説の中にいる自分を消化しきれないアイドルが、サブカルの世界に自分のアイディンティティを見出そうとする姿は、珍しくないことでした。AKB48を卒業した前田敦子も同じ流れにあると思いますし、遡れば小泉今日子なんかもあてはまるかもしれません。
ハロプロで言うと、幼少期の自分とのギャップや、成長した自分の「アイドル」としての自己像を消化できなかったであろう菅谷梨沙子が志向したのも、サブカルの世界でした。

 

ひとくちに「サブカル」と言っても、サブカルの世界にも色々あります。そもそもサブカルチャーという言葉の本来の意味を調べてみると、以下のような解説になっていました。

主流の文化に対する、少数派に支持されている娯楽・趣味文化のこと。主に少数派(マイノリティ)によって形成されると言われているが、実際は多くの現代の若者たちがサブカルチャーを支持しているようである。

文化の中で、ポピュラーカルチャーよりはマイナーであるが、「カウンターカルチャー」と言われる主流文化に対抗的なヒッピー等よりは逸脱度が高くないものを指す。

対義語は(伝統的で)多くの人が支持する文化という意味の「ポピュラーカルチャー」「マスカルチャー」「ハイカルチャー」など。

要は
ハイカルチャーサブカルチャーカウンターカルチャー
の順で、オタク度、マニア度、難解度が高くなっている風潮がある。

ハイカルチャー/ポピュラーカルチャー系文化とは
•絵画
•純文学
クラシック音楽 など

サブカルチャー系文化とは
•漫画、アニメ、コンピュータゲーム、特撮作品、フィギュアといったオタク文化
•単館上映系の映画
現代アート
•ファッション
•(インディーズ系)音楽  など

はてなキーワードより)

 

ついでに、「サブカル女」というキーワードもあったので調べてみました。

 

自分の世界やこだわりを持ち、サブカルチャー(主流の文化に対する、少数派に支持されている娯楽・趣味文化)に興味を持つ女子のこと。

対義語にスイーツ(笑)がある。


サブカル女にありがちなこと

•趣味が一眼レフ
•髪型がマッシュルームボブ
•髪型が巨大なお団子
•異国情緒ファッション
mixiで好きな映画や音楽をズラズラと羅列
•その時はやりの○○ガール
•チークが濃い
ARATA加瀬亮が好き
•好きな芸人はラーメンズ板尾創路
•背が低い
•「歌詞の世界観が…」とか言う
•美大生の彼氏を欲しがる
•とりあえず下北沢
マスキングテープ大好き
•ギター背負っちゃう
•生足を見せない
•映画を一人で観に行く(単館上映モノ)
•好きな映画は「アヒルと鴨のコインロッカー
•今の邦楽だと 毛皮のマリーズ黒猫チェルシーフジファブリックくるりゆらゆら帝国 が好き
•好きな作家は 森見登美彦町田康江國香織
•好きな漫画家は松本大洋
•お香を焚く
ビレバンで買ったヘッドフォン
ビルケンシュトックのサボっぽい靴
四畳半神話大系は良くて、化物語はだめ
•大きめのダテメガネ
•旅行はヨーロッパよりも東南アジア
•エセベジタリアン
•クラブとバンドはステータス
•大阪より京都好き
シマシマのニーハイ
•ブログがあえて理解できないような文章で構成されている
民俗学っぽいことが好き
•肌が綺麗
•とりあえず売れてるものやメジャーなものを否定しておく
ロキノン

はてなキーワードより)

 

よくわかるような、わからないような解説ですが、

 

•映画を一人で観に行く(単館上映モノ)
•クラブとバンドはステータス
•ブログがあえて理解できないような文章で構成されている
•とりあえず売れてるものやメジャーなものを否定しておく

 

あたりは、なんとなくピンとくるものがあるような気がします。*4


つまり、ハイカルチャーが必要とする体系的な知的教養は備えていない、あるいは拒否しているけれども、大衆文化の中では洗練度が高そうで、知性や感性をある程度必要とするがゆえにマイナーな位置におかれているものというのが、いわゆる「サブカル」にあたるのでしょう。

そして、サブカルを愛好する女性は「知性があるふり」をしているだけで滑稽だ、と考えている男性*5が、彼女たちにつけた名称が「サブカル女」というわけなのでしょう。

 

この「サブカル女」という皮肉をこめた男性目線の呼称がある時点で明らかなことですが、一般的に男性は、サブカルを愛好する女性に多かれ少なかれ生理的な拒否反応を持っているのではないでしょうか。もちろん、そうでない男性も多いと思いますが、少なくともアイドルを好んで応援するタイプの男性にとっては、「知性があるふり」を装う女性をカワイイとは思えない方が多いのではないかと思います。

しかし、言ってしまえばアイドルそのものが「サブカル」の一部にあたるわけですから、「サブカル」の階層がどんどん折り重なってわけがわからなくなってしまいますが、ドツボにはまりそうなので、とりあえずこの話は放置しておくことにします。*6

 

花音がある時期から、このサブカルの世界に傾倒し、「サブカル女」化していたことは、恐らくファンの皆さんもご承知のことではないかと思います。

ブログではあえて狙ったような意味深な発言が増え、好きなバンド(アーバンギャルド、世界の終わりなど)の話が頻繁の出てくるようになりました。ファッションも、ロリータへの憧れを公言したり、MILKやAmavelといったサブカルファッションとでも言うべきブランドを好んで挙げるようになりました。

 

元々、花音は自分がアイドルファンであることもあって、「アイドルとしての発言」や情報発信に非常に敏感というか、ブログというツールもうまく使いこなしている印象を持っていました。しかし、彼女がサブカル的な志向をブログ上でアピールするようになってから、「アイドル」としてのセオリーをあえて外そうとするような言動が見られるようになってきたように思います。

あやちょが「仏像」「アート」というテーマを、アイドルとしての価値創造に取り込んだのに対して、花音は逆に、アイドルと言う言説から外れてみせることで、サブカルの世界に傾倒していったと言えます。


この変化には恐らく、2つの要因があると思います。

まず1つは、花音が大学へ通い始めたことです。元々花音は、非常に頭の回転が速く、クレバーな女の子でした。MCやテレビ番組での花音の発言を聞くと、切りかえしもうまくちゃんとオチを作っていて、タレント性を感じずにはいられません。

「シンデレラキャラ」という迷走もありましたが、今ではそれをうまく笑いに昇華しています。非常に頭の良い子だな、と思います。だからこそ、大学へ通うという選択肢も、決して間違いではないと思いますし、むしろ視野が広がって良いのではないかと当初は好意的に考えていました。

 

しかし、花音が大学で出会ったものは、恐らく期待していた以上に、花音の世界をひっくり返してしまったのだと思います。

個人的な経験からも思うことですが、大学時代と言うのは、最も時間と精神に余裕があり、音楽や映画などの文化的な娯楽に熱中しやすい時期です。知性があると自負している人ならば、よりマイナーな「サブカル」にハマッていくのも当然の流れでしょうし、文化系の学部であればなおさらです。周囲の人の影響も受けやすい時期なので、もともとサブカルへの志向があったならば、自分と似た傾向の同好者や、さらに知識の深い先輩などとの出会いは、人格形成やその後の人生の選択において非常に重要な意味を持ってきます。

花音が実際大学で何を学び、どんな人と出会ったのかは知る由もありませんが、彼女の場合、大学で吸収したものをアイドルとしての自分に活かすと言うよりも、彼女が出会った「新しく眩しい世界」に、アイドルとしての自分の自我が取り込まれてしまったような気がします。

 

そしてもう1つが、前述した「スマイレージ」が「アンジュルム」に変身したこと=完全なる「スマイレージ」の破壊です。初期「スマイレージ」を乗り越えて「アンジュルム」を消化することができなかった花音は、「アンジュルム」のメインストリームから外れてしまったと言えます。
これにより、花音は完全に自分の存在の置き場を失ってしまったのではないでしょうか。そして、自らのアイディンティティを、彼女の世界を変えてくれた「サブカル」の中に求めたのです。

 

なぜ女子アイドルは、 サブカル化して卒業してしまうのか?

花音が卒業を決めたのは、きっと様々な原因があり、簡単に推し量れるようなものではないでしょう。しかし、女子アイドルの「サブカル化」という視点から見ると、花音の卒業について、なんとなく理由の1つが見えてくるのではないかと思います。

 

私が想像するに、何かを創造すること、クリエイター側になることが、「サブカル女」の最大の目標というか、憧れなのではないかと思います。

洋服をデザインしてみたり、DJプレイを学んでみたり、作曲をしてみたり。写真を撮るというのも、最も手軽がクリエイションの手段です。*7

個人的には、「アイドル」という職業も十分クリエイティブだと思いますが、花音としては、「思い通りにならない」「自分がやりたいことができない」、そして何より、「私がやっていることはオシャレじゃない」という、行き場のないフラストレーションがたまっていたのかもしれませんね。恐らく、彼女の自意識の高さや知的な承認欲求が、そうさせたのだと思います。

 

また、花音は自分が「アイドル」としてファンや批評家の支配下に置かれるのではなく、逆に自分が「批評家」の立場になって高い視座を獲得したかったのかな、とも思います。うまく言えませんが、評価される側から評価する側に移行したかったというか、彼女にとって徐々に「アイドル」は、相対化してネタにして、外側から眺めるものに変化していたのではないでしょうか。

これも、彼女の頭の良さや自意識の高さが、彼女の価値観を変えて行った結果だと思います。

 

そして最終的に、福田花音が選んだ「憧れのクリエイターになる手段」は、「作詞家」になる、という道だったようです。

ameblo.jp

 

作詞家として、福田花音は成功できるか?

作詞家として福田花音が成功するか否かは、よくわかりません。花音の作った歌詞というものを目にしたことがないので、 全く想像がつかないのです。

ただ、ハロプロとしての前例はないようですが、世間には作詞家となった元アイドルの方もいるようですし、またアイドルとして活動しながら作詞を行っている方も多いと思います。アイドルにしかかけない歌詞、というのもあると思います。需要はわりとあるのではないでしょうか。

そして、ブログでの文章を見る限り、花音は決して言葉を知らない女の子ではないと思います。些細な言葉選びの端々に知性を感じますし、今はまだ独りよがりな部分もあると思いますが、文才は十分期待できるのではないでしょうか。

今後作詞についての勉強を積んで、いずれ作詞家・福田花音として作品を発表してくれることを楽しみにしています。

 

しかし、福田花音が卒業を選び、和田彩花が孤高の存在を選んだことで、私がかつて熱狂した「スマイレージ」というアイドルは、完全に終焉を迎えてしまいました。

少しさみしい気もしますが、これでようやく、私もファンとして「スマイレージ」を消化して、乗り越えられるのかな、という気がします。

今後も和田彩花擁するアンジュルム、そして作詞家・福田花音の活躍を期待しています。

*1:もう1人、小数賀芙由香も加入しましたが、諸事情により正式メンバーに昇格できなかったようです

*2:おそらく、それが目的で3期メンバーの加入と改名を、事務所だか本人だかが決断したのだと思います。

*3:佐々木莉佳子は、当初モーニング娘。の中核を担う存在として育成されている、と私は思っていました。

*4:正直自分にもこうゆう一面があるからです…

*5:※自分のことはとりあえず棚上げしている

*6:すみません、知性が足りません

*7:今は手軽に画像修正できるので、誰でもある程度のそれらしいオシャレ写真を撮ることができます。だからサブカル系を自認する人々は、猫も杓子も一眼レフをぶらさげているのではないでしょうか