非メジャーアイドルナビ

一般的に「非メジャー」に分類されるであろうアイドルを追跡するブログです

AKB総選挙を終えて。メジャーアイドルグループのメンバーの7割が非メジャーな存在である不思議

総選挙から見えてくる、AKB48グループの大いなる矛盾とは?

 

AKB48:「おニャン子クラブ」等のプロデュースで知られる作詞家の秋元康氏がプロデューサーを務める大人数アイドルグループ。秋葉原を拠点に活動をスタートし、現在はSKE48等の姉妹グループを全国各地に抱えている。選抜制度、握手会、総選挙などの新たな「システム」をアイドル界に根付かせた。

www.akb48.co.jp

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先日ヤフオクドームで行われた*1AKB48グループの一大イベント「選抜総選挙」が、大盛況のうちに幕を下ろしました。
注目の第1位はHKT48指原莉乃が奪還し、第2位は自身の最高位を更新したAKB48/NGT48の柏木由紀、そして前回覇者のAKB48渡辺麻友が第3位という結果になりました。

恐らく、この3人に加え第4位に滑り込んだ総監督の高橋みなみ、第9位という結果に涙を見せた島崎遥香、そして今回出馬を見送った小嶋陽菜あたりが、一般的な日本人にとって「メジャー感」のあるAKB48のメンバーなのではないでしょうか。

選抜メンバーである第16位以内のメンバーでさえ、全員を認識するのはかなり難しいかもしれません。ましてや、80位までのメンバーをすべて知っている人は、かなりコアな部類のファンだと言えるでしょう。

 

ところが、話はここで終わらないわけです。
AKB48グループから今回総選挙に出馬したメンバーは、総勢272人。つまり、ランクインしなかった残りの192人は、超メジャーな存在であるAKB48グループに所属していながら、ほとんどその存在が表に出てこない、世間から芸能人として認識されるに及ばないレベルの「非メジャー」な存在だと言えるのです。

まさに時代の寵児とも言える、誰もが知っている巨大アイドル・AKB48というグループに所属しながら、その7割以上がまったく世間から存在を認められることのないメンバーである、という矛盾。この闇を見るにつけ、私はAKB48グループの功罪を強く実感するとともに、思春期の少女たちがそれでもAKBグループに自らの夢を賭けることに、愚かさと同情を感じると同時に、ある種の美しさを見出さずにはいられません。

一体なぜ彼女たちはAKB48グループにしがみつき、順位付けされて「圏外」という結果をつきつけられても、それでもまだAKB48に夢を見ようとするのでしょうか?

 

圏外メンバーの何が問題なのか?

一体、80位以内にランクインするメンバーと、名前を呼ばれることのないメンバーの間には、どんな差があるというのでしょうか?

私が今回注目したのは、大島涼花加藤玲奈という2人のメンバーです。

 

個人的な好みの問題になりますが、私は大島涼花のファンです。元々w-inds.千葉涼平に似ていると思ったことから注目し始めたのですが*2、その「クソガキ」キャラを知るにつけ、「この子はアイドルとしておもしろくなりそうかも」と好感を持ち始めました。

AKB48 チームB所属 大島涼花 (Ryoka Oshima) - YouTube

 

 念のため申し上げておくと、私はAKB48グループのアイドルに対し、歌唱力やダンスの能力というものを一切求めていません。基本的にアイドルはその人の総合的な「人格」に対してファンがつくものだというのが私の持論であり、好きなアイドルに実力派アイドルである℃-uteやLeadを挙げているのも、ただ単に彼女たちが歌やダンスがうまいからではなく、歌って踊ることへの真摯な姿勢が、三枚目的なキャラクターとのギャップと合せて非常に魅力的だと思えるから、応援しているわけです。


AKB48グループのアイドルについては、歌やダンスのスキルを一切無視した序列を作っているところがアイディンティティの1つだと思っているので、彼女たちのスキルの未熟さを怠慢だとは思いません。涼花はダンススクールに通っていた経験もあるらしくダンスは上手な方だと思いますが、AKB48においてそれがさほどアドバンテージになっているとも思えません。

もっと言ってしまえば、AKB48の歌にも興味がありません。彼女たちの見せる「人間ドラマ」とでもいうべき、「人格のぶつかり合い」こそが、私にとってのAKB48の醍醐味なわけです。このあたりは、ジャニーズにも少し共通する部分かもしれません。

ですので、私がAKB48のメンバーについて語るときには、必然的にそのキャラクターのみに焦点を合わせた目線になることを最初にお断りしておきます。

 

さて、大島涼花に話を戻しますが、彼女は現在16歳。

まだまだアイドルとして伸び代がある年代かもしれませんが、率直に言うと、そろそろ芽を出さないと厳しくなってくる年頃だと言えます。同じ基準で語るのは難しいですが、松浦亜弥が「ドッキドキ!LOVEメール」でデビューしたのは14歳の時。山口百恵がデビューしたのも14歳の時で、引退したのは弱冠21歳の時でした。

女優を目指す彼女が本気で芸能界で生き残っていきたいと思ったら、そろそろ焦り始める時期なのではないでしょうか。

 

涼花はルックスもいいし、小柄ながらスタイルもいいし、キャラクターも良いと思います。素直で華があり、人に愛される「アイドル性の高い」性格だと思います。加えて、チームBの副キャプテンでもあり、個人でのCM出演などもある、いわゆる「推され」メンでもあります。

それなのに、なぜ人気が出ないのでしょうか?昨年は80位にランクインしたのに、この1年で多くの露出の機会を与えられたにも関わらず、今回はなぜ転落してしまったのでしょうか?

そしてその疑問は、涼花だけに限定されたものではありません。他の下位メンバーを見ても、選抜上位のメンバーに比べて劣っている点があるとはとても思えないし、ルックスだけで見ればもっとかわいい子はたくさんいます。

 

その矛盾について考えてみると、ミもフタもない話で恐縮ですが、結局のところ、AKB48はそうゆう世界」なのだ、としか言いようがない気がします。
何がきっかけでブレイクするかは、まったく予想できません。腐らずおごらず、他の300名弱のメンバーに埋もれてしまわないキャラクターを確立し、ファンにアピールできる子だけが生き残ります。

そして、特にAKB48本体では、加入する時期が遅ければ遅いほど、後から入ってきたメンバーに残されたチャンスは多くないと言えます。


ひたすら辛抱した加藤玲奈の開花

一方で、私の好きなもう1人のメンバー、加藤玲奈は、なかなか人気が出なかった時期をじっと辛抱し、回ってきたチャンスを活かしながら、ファンからの支持が追い付くのを待つことのできた幸運なメンバーだと言えます。

AKB48 チームB所属 加藤玲奈 (Rena Kato) - YouTube

 

れなっちはモデルのような大人びたルックスが魅力の17歳。

彼女はAKB48に研究生として加入した当初から推されており、いきなり雑誌の表紙に前田敦子らと並んで抜擢されたり、コンサートでソロ曲を歌ったり、10期生の中でも特に運営から期待をかけられていたメンバーだと言えると思います。初めて「渚のCherry」でセンターポジションを務めたれなっちを見たとき、私は彼女の存在感の新鮮さに熱狂したものでした。

しかし、その「推され」具合に反して、彼女はなかなか人気が出ませんでした。

 

2011~2013年の総選挙では3回とも圏外。まさに「惨敗」と言うべき残酷な結果でした。運営がいくら推しても、人気が出なければいずれ「チャンス」は別のメンバーに回って行ってしまうでしょう。恐らく、かなり焦りもあったはずです。

しかし、昨年は32位にランクインし、今年は28位に順位を押し上げました。まさに大健闘と言えると思います。


れなっちも、涼花と同じく与えられたチャンスの割に人気が伸びないことに、非常に悩んでいたと思います。しかし彼女は、その不遇の時代を耐え抜きました。

なぜ急に彼女の人気が上がったのか、直接的な理由はよくわかりません。元から露出が多く、継続的に推されてきたタイプだと思うので、アンリレ選出やバカレア学園出演などのチャンスが直接人気の急上昇に結び付いたとは考えにくいと思います。

ただ、彼女が「人気に比例しない推されメン」として、時には批判を受けながら、「圏外」という厳しい結果を突き付けられながらも、決して腐らずおごらず、笑顔で仕事に取り組んできたことを、個人的にはとても好意的に見ていました。

元々のルックスの良さと、逆境にひねくれなかった性格の良さが、彼女を徐々に輝やかせ、今になってやっと報われたのかもしれない、と思います。

 

とはいえ、彼女はまだ28位。選抜圏内である16位までは、まだまだ道のりは遠そうです。ここからが、彼女の本当の試練の始まりかもしれません。


AKB48は個人で成り上がるしかないグループ

この総選挙を通して、結論として私が思うことは1つ。すなわち、AKBというのは個人戦なのです。

グループ全体で頑張ろう、という視点には絶対にならないわけです。

 

なぜなら、300人全員が彼女たちの望む「アイドル」になれるわけがないからです。

勝ち組である選抜メンバー上位のひと握りだけが「AKB48」を象徴しており、その他の200名のメンバーは、外側から見れば「有象無象」であり、まずは個人として頭角を現さないことには、グループの1員として認識してもらうことすら難しいのです。


路上ライブをしていた無印時代のももクロは、初期はメンバーの入れ替えもありましたが、6人で成り上がろう!というチームワークがあったでしょう。

不遇の時代が長った℃-uteも、メンバーの脱退はありましたが、5人でお互いに高め合い、グループとして上を目指してきました。

そういった一体感を生み出すことは、すぐにチームが入れ替わったり、グループ間での異動もあるAKB48グループにとっては、非常に困難なことだと思います。もちろんチームや同期の絆があることは否定しませんが、他の少人数グループのアイドルに比べると、非常に頼りない、心もとない関係に見えます。

そして何よりこの投票によって個人ランキングを決める「総選挙」という、同じグループ内で序列をつけて争う個人戦が最大のイベントに据えられてることが、何よりもAKB48個人主義を象徴していると言えます。

 

SKE48松村香織の13位という快挙と言える結果も、それを証明している気がします。彼女が去年より順位を上げたのは意外でしたが、これも彼女が1人で地道な活動を続け、AKB48グループ内で類を見ない、個性的なキャラクターを確立したからと言えます。

かおりんは、非常にクレバーだと思うし、言動はインディーズの個人アイドルみたいですが、アイディアを出してよく頑張っていると思います。だから彼女を批判する意図は全くありません。素直に好感を持っています。

 

まさにAKB48グループは、個人の「仕掛け」が評価される場所なのだと思います。それには自分を時には切り売りしてファンにアピールしたり、自分のマイナーな部分を売りにするある意味での「非メジャー感」も必要なのでしょう。

しかし、AKB48グループ内でそれが通用するとしても、その先に展望はあるのでしょうか?


大島涼花加藤玲奈の未来の展望は?

AKB48の中に「28位」という居場所を確保した加藤玲奈と、「圏外」という結果をつきつけられた大島涼花。 2人は今後も、AKB48内で生き残っていくために、それぞれ工夫をこらして、「個人戦」を戦っていくのでしょう。

しかし、そんな近視的な状況で「ファンへのアピール」や「仕掛け」だけを学んでいたら、長い目で見て芸能界で生き残ることは難しいのではないでしょうか。


女優を目指す16歳とモデルを目指す17歳。進路を考える時期です。軽軽なことは言えませんが、AKB48でどんなに頑張っても、見える景色は限られているかもしれません。

「夢をあきらめない」という言葉は甘美ですが、AKBグループを卒業した・追われた先輩たちの末路を冷静に眺めていると、自分が夢を賭けているグループに本当にそれだけの価値(利用価値)があるのか、疑問が湧いてくるメンバーもいるでしょう。

 

夢をかなえるための自分に合ったフィールドを探すことはとても大切です。

あきらめるのではなく、違う場所を見つけることが、夢への近道になる可能性もあると思います。
自分にチャンスが回ってくるのを待つのもいいでしょう。しかし、若さという最大の武器の1つがすり減って消耗してしまう前に、違う場所へチャンスをつかみに踏み出すのも、私は価値のあるチャレンジだと思います。

 

ということを書きながらも、私はれなっちにも涼花にも、今後もAKB48で頑張って欲しいという気持ちが本音です。

若い2人の存在が、その健気でひたむきな姿勢が、AKB48グループの中で煌めいて見えて、私を惹きつけてやまないからです。

2人の生々しい感情を、今後もAKb48の中で見せて欲しい。単純なファン心理として、そう願ってしまいます。彼女たちにとっては、非常に残酷なことかもしれませんが…。

 

結局のところ、思春期の少女たちが自我をさらけ出して傷ついたり、立ち上がったりする姿にロマンを感じておもしろがっているファンたちが、よってたかってAKB48という化けものじみたグループを支えているのかもしれません。

 

大島涼花加藤玲奈ぐぐたす*3を読んで、個人的にはそんなことを、しんみりと思った梅雨入りの夜でした。

 

選抜総選挙。…plus.google.com

去年より上がることができて
ホッとしている自分がいます。…plus.google.com

 

*1:フジテレビでも生中継された

*2:自分でもアホらしい理由だと思います

*3:Google+のこと