非メジャーアイドルナビ

一般的に「非メジャー」に分類されるであろうアイドルを追跡するブログです

鞘師里保の卒業に思うこと。

鞘師里保:女性アイドルグループ・モーニング娘。の第9期メンバー。1988年5月28日生まれ。広島県出身

モーニング娘。’15:プロフィール|ハロー!プロジェクト オフィシャルサイト

 

モーニング娘。アップフロント所属、ハロー!プロジェクトを代表する女性アイドルグループ。1997年結成、1998年「モーニングコーヒー」でメジャーデビュー。

www.helloproject.com

 

あまりに突然すぎたモーニング娘。の絶対的エース・鞘師里保の卒業発表に、私はあまり衝撃を受けませんでした。

 

もちろん、驚いたことは驚いたのですが、どこか納得というか、個人的にはモー娘。の中でりほりほが良くも悪くも特殊な存在だと強く感じていたため、りほりほがある意味道半ばでの「卒業」という道を選んだことに、ショックは受けませんでした。むしろ、「早く決断したりほりほはエライな」とさえ思いました。

今の年齢であれば、まだどんな新しいことにもチャレンジできるはずです。恐らく苦渋の決断だったとは思いますが、彼女がこの若さできちんと決断を下し、自分の未来を自分の意志で選んだことに、まずは拍手を送りたいと思います。

 

以前にも同じようなことを書きましたが、私はハロプロというアイドル集団の哲学の中において、りほりほの存在はとてもイレギュラーなものだと思っていました。

それが良いか悪いかはよくわからないし、少なくともりほりほは立派にエースとしての役割を果たしていたと思うのですが、それでもやはり、りほりほはハロプロという集団の中にはなじまなかったように思います。

それはどちらが悪いわけでもなくて、単にお互いの持っている性質が違っていた、ということなのではないかと思います。だけどりほりほはハロプロを選び、ハロプロもりほりほをエースとして選んだ。その結果について今コメントすることは、非常に難しいと思います。

 

前に書いたりほりほについての所感を、長いですが引用しておきます。私の思うことは、今も、以下のとおりです。

 

私見ですが、ハロプロのアイドルというのは、基本的に「歌唱力」がその魅力の最大の軸になっているのではないかと思います。あややも、スタイルが良いこともあってポージングがきれいなので、ダンスも上手に見えますが、基本的に「難易度の高いダンス」をしていたわけではないと言えるでしょう。バンドのボーカリストだったつんく氏がプロデュースするだけあって、ハロプロのアイドルは「歌」を中心にパフォーマンスを組み立てていて、ダンスはあくまで「歌を邪魔しない程度」に抑えられている気がします。

同様に、私が長年大ファンである℃-uteは、ハロプロの中でも高いダンスパフォーマンス力を誇るグループだと思いますが、あくまでもそれはハロプロ内でのことで、例えばE-girl'sとか、もっとアイドルらしいところで言うとフェアリーズなんかと比べると、やはりダンスに対する志向がそもそも違うのかな、と思います。フェアリーズは完全に「ダンス」が中心に据えられたグループなので、その分歌唱力はハロプロに及ばないと言えますが、ダンスについては根本的なレベルの差があると言っても過言ではないと思います。

もちろん私はダンスについては全くの素人なので、ただの個人的な感想になってしまうのですが、少なくともハロプロのアイドルとフェアリーズでは、そもそも「振付の難易度」が違っているので、ダンススキルの能力を比べること自体が難しいのかな、と思います。どちらが上手い下手というよりも、それぞれが目指しているダンスの方向性や難易度が違っているので、そもそも立っているステージが違うという感じです。また、「踊りながら歌う」スキルに長けているのも、フェアリーズの特徴の1つですが、一方でハロプロのアイドルは、あくまで「歌」が主役なので、ソロパートではダンスを抑えたりして歌に集中する傾向が強いようです。

 

だからと言って、どっちが良いとか悪いとか言いたいわけではなく、とにかくハロプロはダンスよりも「歌」を重視する傾向があり、その分松浦亜弥藤本美貴鈴木愛理のような個性的なボーカル力を持ったアイドルを育成することができたのかな、と思います。

最近も、小田さくらを筆頭に高木紗友希宮本佳林金澤朋子*1といった実力のある若手が育っているようですし、「歌」にかけるハロプロの熱意と言うか、プロ意識を、私は大いに評価しています。

 

だから、余談になってしまいますが、モー娘。のエースとして鳴り物入りで加入した鞘師里保については、ハロプロにおいてものすごい異端児だな、という感想を持っています。

元エースの高橋愛も、非常にダンスの上手なアイドルでしたが、彼女の魅力の本質は何と言っても「歌」。アイドルの枠を超える歌唱力を持ち、ミュージカル等でも十分通用していると聞いています。

そんな彼女の跡をついだりほりほは、決して歌が下手というわけではないですが、「歌唱力」のあるタイプではなく、どうしてもその魅力の本質は跳びぬけた「ダンス力」に凝縮されていると思います。しかし、ハロプロにはそもそも「ダンス」を志向してこなかったという土壌があり、振付もどうしても難易度が高くないものになってしまうので、鞘師里保はココでは「宝の持ち腐れ」では?という気がします。

 

特にモーニング娘。は基本的に熟練者が卒業して素人が加入するタイプのグループなので、ダンスの技能レベルがバラバラで、りほりほのスキルの高さが逆に浮いてしまい、あまり活かせていないように私は感じます。もちろん、これは個人的な感想であり、りほりほのレベルに追い付こうとする他メンバーの成長を見守るのも1つの楽しみなのかもしれませんが…。

りほりほ自身も、恐らくスクール時代とは違う環境にいるわけで、スクール時代の貯金だけでやっていけるものではないでしょうし、朱に交われば赤くなるとも言いますので、このままだと肝心のダンス力が鈍ってしまってもったいないのかな?と個人的には思います。

せっかくりほりほがモー娘。のエースとして君臨しているわけですから、ハロステダンス部などの機会をうまく利用して、ハロプロ全体でダンススキルのボトムアップをはかれたら素晴らしいとも思いますが、やはりハロプロのおもしろさは「歌」にあると思うので、今後も「歌」重視で、個性的なボーカルを育てて欲しいものだと思います。

 


個人的には、りほりほの凛とした雰囲気やルックスがわりと好きだったし、ダンスは段違いでうまかったと思うし、歌唱力も決して低くはないと思っていました。

だけど、彼女のいる場所はハロプロではなかったのかな、もっと輝ける場所があったのかな、という勝手な違和感も、ずーっと心のどこかに抱いていました。これは私の勝手な好みの問題であり、それを理由にりほりほを否定する意図は全くないのですが、りほりほはどうしても、モー娘。のエースの系譜に馴染んでいなかったと、個人的には思います。

 

そして、同時にモー娘。は、ある意味でりほりほに「見切られた」わけです。

モー娘。の中にりほりほの居場所を提供できなかった責任は、もちろんハロプロ側にもあると思います。りほりほという最高の素材を手に入れたのに、それを上手に生かすことができなかった部分がありました。

EDM路線を選んだのは、「鞘師里保」という存在があってこその画期的な選択だったと思うのですが、一方でメンバーのダンスの熟練度がバラバラだったので、ダンスについてはフォーメーションダンスを選択せざるを得なかったのでしょう。しかしそれは結果的に、りほりほのダンスのうまさや個性を埋もれさせてしまうことにもつながったのかもしれない、と今になって思います。

だからと言ってその選択が間違いだったとまでは思えませんが…。もっと長期的に見て、りほりほが中心となってメンバー全員のダンスレベルが底上げされれば、例えば全員ハロステダンス部くらいに踊れるようになれば、とても面白いものが見れたかもしれません。しかし、結局のところ、モー娘。というのは「そうゆうグループ」ではないような気がします…。

 

これからりほりほは、ハロプロに籍だけ残して海外留学を考えているようですが、彼女が今後どんな道を歩み、どんな「モーニング娘。後の鞘師里保」の姿を見せてくれるのか、私は非常に楽しみにしています。

りほりほには無限の可能性があります。おおいに自分を高めて、自分のなりたい「鞘師里保」になって、帰ってきて欲しいと思います。きっととんでもないものを見せてくれるはずです。彼女には、その力があると思います。

 

そして、りほりほという絶対的エースを失った後のモー娘。にも、やはり無限の可能性があるのです。

モーニング娘。復活の原動力であり、そのアイコンであった鞘師里保がいなくなった後、モー娘。はいったいどんな道を選び、何を見せてくれるのか?

彼女たちの意志を、「モーニング娘。'16」という新しい舞台で目撃するのを楽しみにしています。